【ATEM Streaming Bridge】インターネット接続におけるネットワークのポイント解説

ATEM Streaming Bridgeをインターネット経由で利用する時に注意するべきネットワークのポイントについて、WANemでの検証結果を交えて解説します

2020/12/24
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こんにちは、田中司恩(@tnk4on)です。この記事はBlackmagic Advent Calendar 2020の24日目の記事になります。

インターネット経由でのATEM Streaming Bridgeの利用

ATEM Streaming Bridgeについては以前、2つ記事を書きました。

【ATEM Streaming Bridge】ATEM Mini Proの可能性を拡張する魔法のデバイス
【ATEM Streaming Bridge】ネットワーク機能詳細 Deep Dive

ATEM Streaming Bridgeがサポートしている3つの接続方法のうち、インターネット経由の接続は非常に可能性のある方法です。ATEM Mini ProとATEM Streaming Bridgeが物理的に遠距離にあったとしてもインターネットを経由して映像・音声を簡単に届けることができます。そして、受信側でSDI/HDMIビデオとして取り出すことができます。

ATEM Streaming Bridgeの3つの接続方法

ATEM Streaming Bridgeの3つの接続方法

この時重要なのがネットワーク環境です。ネットワークが重要なのはライブ配信プラットフォームを使用したライブ配信と同様です。参考までに、ライブ配信におけるネットワークの重要性については、ライブ配信アドベントカレンダー2020にて記事を書きました。

【ライブ配信】ネットワーク調査の推奨方法|Shion Tanaka / 田中司恩|note

上記の記事の中でも「遅延」と「安定度」が重要であると解説しています。「帯域」「遅延」「安定度」の影響が、ATEM Streaming Bridgeのインターネット経由での通信にどれくらい影響があるのかを検証しました。なお、今回はインターネット接続のシミュレーションを行うため、WANエミュレーター「WANem」を使用しています。

WANem

WANemは2つのネットワークをブリッジまたはルーティングし、その途中で通信に対して帯域制御や遅延を追加することで擬似的に通信経路の負荷を作り出すツールです。

ダウンロードしたISOファイルをCDやUSBでブートするとKnoppixをベースとしたGUI環境が立ち上がります。ネットワークの設定を行いNICに測定したい機器を繋いで通信を実行しながら帯域や遅延のパラメーターを調整して結果を確認します。今回はブリッジモードを使い、同一ネットワークセグメントにあるATEM Mini ProとATEM Streaming Bridgeを繋いで検証を行います。

WANemを使った検証構成

WANemを使った検証構成

検証

負荷をかけていない状態の時、データレートは約3.4Mbps、遅延は約595msec。直接接続時と同様の状況です。

Camera1:元ソース、Camera2:Streaming Bridge

Camera1:元ソース、Camera2:ATEM Streaming BridgeのHDMI出力

帯域を3,000Kbpsに絞った場合

データレートの約3.4Mbpsをやや下回る3,000Kbpsに送受信ともに変更。通信開始から35秒程度でキャッシュがFULLに。映像受信の遅延も発生(約5.7秒)。

その後もキャッシュは45%〜FULLを繰り返します。ネットワーク回線は最低でもデータレートを上回る品質が必要です。

遅延を500msecにした場合

遅延が極端に大きくても、通信自体が安定していればデータの到達が遅れるのみで受信映像に大きな問題は発生しません。

遅延を10msec、ジッターを10msecにした場合

条件の良い環境と同等の遅延(10mse)であっても、ジッター(ゆらぎ)が大きいと40秒ほどでキャッシュがフルになり映像受信の遅れ(約5.8秒)が発生します。また継続的に映像のコマ落ちも発生します。

まとめ

WANemを使ってATEM Mini ProとATEM Streaming Bridgeのインターネット経由での通信負荷をかけた場合の通信を検証しました。その結果、安定した通信を行うためのネットワークのポイントが確認できました。

帯域については送信ビットレートを下回らない性能があれば問題ありません。現在の国内の固定回線であれば十分にこれを上回っているはずです。また遅延そのものは発生したとしても映像の破綻に繋がるような問題は発生しませんが、ジッターの方は大きな影響があります。多少遅延が大きくても揺らぎの少ない=安定しているネットワーク回線を利用することが重要です。Wi-Fiやテザリングによる通信がライブ配信に向かないのはこれが大きな理由です。固定回線を利用する場合でもIPv4 PPPoE通信はISP側で輻輳が発生し、時間帯によっては安定した通信結果が得られないことが問題になっています。最近ではIPoE(IPv4 over IPv6)通信に対応したISPも増えていますので、安定した固定回線の選択時のポイントにしてください。

これらのネットワークのポイントを押さえることで、インターネット経由でのATEM Streaming Bridgeの利用がさらに安定したものになると考えます。

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