
【ATEM Mini】ミキサー不要のライブ配信
生屋 頭取 @shindoy です。この記事は Blackmagic Advent Calendar 2020 21日目の記事になります。
4系統のHDMI入力を持つスイッチャー「ATEM Miniシリーズ」が持つ、音声ミキサー機能について解説します。
「オールインワン」
ATEM Mini シリーズは4系統のHDMI入力を持つ小型スイッチャーとして人気ですが、同じ筐体に「音声ミキサー」機能を内蔵しているということも特長です。入力レベルの把握など細かい操作には PC/Mac側で ATEM Software Control の利用が必要になりますが、「物理的なミキサー不要」な構成を可能にし持ち運び機材の削減ができることで少人数/ワンオペでのライブ配信を行う際などに効果を発揮します。
(ATEM Mini Proの音声ミキサーボタン群)
MIC端子
ATEM Mini シリーズが持つ [MIC]端子は、プラグインパワー対応の 3.5mmステレオミニプラグです。マイク電源が不要なことも機材削減に寄与します。ただしこのプラグインパワーにはメーカーを越えた統一規格が存在せず、電源電圧も製品によって異なっているため ATEM Mini シリーズとの相性問題が出やすいので注意したいところです。
(MIC1,2端子)
接続可能な製品が多いROSE社の各種マイクを ATEM Mini シリーズに接続し音声特性の検証を行っている動画をアップされている STARTLINELIVE YouTubeチャンネル等が参考になります。
ATEM Min Pro RODE Wireless GO MIC TEST
ATEM Software Control での操作
PC/Mac にインストールされた ATEM Software Control では、MIC入力に加えてHDMI入力の音声レベルやON/OFF操作等が可能です。また、ディレイ機能(映像とのリップシンクの調整を行いたい場合)やイコライザーまであります。
(ATEM Software Control画面)
(赤枠:ディレイ 黄枠:イコライザー)
(ディレイ)
(イコライザー)
更には、MIC1とMIC2の[ステレオLR]入力をそれぞれ[モノラルx2]入力にすることが可能です。MIC1とMIC2の両方を[モノラルx2]入力にすれば、合計[モノラルx4]入力となります。このモノラル4入力を用いる案件例としては、インタビューアー1人とゲスト1人又は2人の構成の場合等が考えられます。
<現場配信の音声構成例>
MIC1 (Mono 1) インタビューアー
MIC1 (Mono 2) ゲスト(1人目)
MIC2 (Mono 3) ゲスト(2人目)
MIC2 (Mono 4) 空き【※注意点】<オンラインの音声構成例>
HDMI1 (Stereo) ビデオ会議画面(Zoom等)
HDMI2 (Stereo) 幕間(開始前など)や動画用PC/Mac
MIC1 (Stereo) BGM
小規模/ワンオペ現場での配信では、撮影対象の人数も少ないことが多いので音声4入力があれば必要十分ということになります。また、オンラインセミナーで開始前や休憩中の「幕間」や動画を放映したいなど演出を加えた配信を行う場合でも、HDMI x4 + Mic x2 (ステレオ) or x4(モノラル) で実現できる進行(構成)は多いといえます。
※注意点
MIC1,2をモノラル分割した際には、自動的に「マイク入力レベル」になります。再生機器は「ラインレベル」であることからMIC (Mono 4)にBGM再生の機器を接続するとプラグインパワーの電圧が印加(電気回路に電源や別の回路から電圧や信号を与えること)される可能性があります。BGMについてはHDMIに接続した(スライド投影・動画ポン出し・BGM再生用等の)PC/Macから行う必要があります。このMIC1/MIC2それぞれのマイク/ライン入力レベルは、ATEM Software Control のTOP画面左下の設定からオーディオを選択し、アナログオーディオ入力の項目でMIC1/2をマイク/ライン入力へ切り替えができます。
(設定>オーディオ>アナログオーディオ入力>MIC1/2>マイク/ライン)
まとめ
ATEM Mini シリーズで実現する「ミキサー不要」なライブ配信でのメリットは様々なものが挙げられます。
・持ち運び機材の削減
・ATEM Software Control によるPC/Macでの詳細オペレーション
・物理ボタンによる確実な操作(音声レベル調整、ON/OFF等)
オールインワンで「ハードウェアとソフトウェアが統合されていること」は、小規模/ワンオペ現場でのミッションクリティカルな状況(人的リソースが限られるなかでライブ配信の開始時間が迫る等)で役立つ機能であり、ミキサーという物理機材がひとつ減ることにより電源確保や接続などの作業工数を削減することができます。ここでも、現場の経験を大切にする Blackmagic社の製品づくりが見て取れます。
