【Blackmagic Design】破壊的イノベーション企業だった件

2020/12/14
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生屋 頭取 @shindoy です。この記事は Blackmagic Advent Calendar 2020 14日目の記事になります。

ライブ配信のニーズが爆発的に増大した2020年、ATEM Mini シリーズによって Blackmagic Design社は一躍有名になりました。今やライブ配信に興味を持っている人なら知らない人はいない、とまで言えるこの企業について、生い立ちや製品づくりについて考察します。

Blackmagic Design社

crunchbase によると、Blackmagic Design社はオーストラリアで2002年に創業されたプライベート企業(外部投資を受けていない)です。オフィスはアメリカ・ヨーロッパ・シンガポール・日本などにあります。ファウンダー/CEOはGrant Petty。彼は長年、放送業界で経験を積んでおり権威主義的で役割分担制など個の創造性が生かされない旧態依然のカルチャーを否定して会社を作ったことがインタビュー番組で語られています。どんな人にとっても気軽にクリエイティブ・ワークが可能になるよう、入手しやすい価格の製品を開発・販売する企業、それがBlackmagic Design社です。

Foundr Magazine – Bootstrapping a $300m Company from Scratch with Grant Petty from Blackmagic Design

Blackmagic Design 公式Websiteより)
“Blackmagic Design is dedicated to allowing the highest quality video to be affordable to everyone, so the post production and television industry can become a truly creative industry.” Grant Petty-CEO

「Blackmagic Designは、最高品質のビデオをすべての人に手頃な価格で提供できるようにすることに専念しているため、ポストプロダクションおよびテレビ業界は真にクリエイティブな業界になることができます。」グラント・ペティー-CEO

ATEM Mini Proの衝撃

2020年4月、スイッチャーにYouTube等へのライブ配信機能を実装した ATEM Mini Pro が発売されました。発売後数ヶ月は入手が非常に困難な状態が続きました。世界的にライブ配信のニーズが爆発的に増加した状況のなか、あまりにタイムリーに発売されたことに大きな衝撃を覚えました。なぜなら、そのとき多くの人々の発言や考えは「GW明けには」や「オリンピック開催」だったからです。前年の2019年9月に ATEM Mini (配信機能の無い単体スイッチャー)が発売された際も、業界にとっては低価格で使いやすい製品の登場は驚きをもって迎えられたのですが、今回のタイミングは完璧といえるものでした。将来のニーズを見込み、先行して製品を開発・製造することは大きなリスクがあります。通常の企業であれば、こんなに早く「世に出す」ことはできません。しかし、Blackmagic Design社はまだ人々の頭のなかが「すぐに落ち着く」だったときに「製品発売」まで完了してしまったのです。この「芸当」に、まさに「魔法」を見ているようでした。

発表された日の早朝、注文を済ませて書き上げた note  でも、その破壊性についてを最後に締めくくっていました。外出ができなくなり、喉から手がでるほど欲しい製品を手頃な価格かつ信じられないスピードで世に出した企業へ強烈な印象を持ちました。

・出張時の機材削減
・破壊的な価格(ライブ配信エンコーダーの単体ハードを開発している国内外メーカーを駆逐)
・ATEM Mini の既存ユーザーが容易に移行可能
・将来の拡張にも対応(カメラコントロールユニット・CCUを搭載)
まさに死角がないプロダクトになっています。Blackmagic Desgin社のマーケティング力、開発力、ビジネス力に脱帽です。

Blackmagic Design社の「現場力」

Blackmagic Design社の製品づくりの特徴として徹底的な「現場」主義があります。これは製品づくりが「現場」と密接に連携しているという意味です。実際に数々のライブ配信の現場で、何度もそれを感じました。生屋 日誌でも過去に何度か「現場力」に触れています。常に時間との戦いになるライブ配信の現場では、何事も直感的に行えることが非常に重要であり、製品の使いやすさはプロフェッショナルにとって生命線です。この「現場で感じる心強さ」がBlackmagic Design社の製品の特徴といえます。

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社長自ら現場に立ち、製品づくりをする

ATEM Mini Pro の登場時、公式YouTubeチャンネルで「ハードワーク」をして出した製品、として語っていた本人こそが、ファウンダー/CEOのGrant Pettyでした。短期間に発売まで完遂したのは、やはり創業者自身が現場に立っている「私企業」であることが大きいといえます。

先述のインタビューでも語られていた通り、放送業界という「持てるもの」が支配する業界を経て、個々のクリエーターがもっと気軽に映像制作ができる「機会」を作り出そうという創業者のイノベーターとしての思いがダイレクトに製品づくりに生かされています。

まとめ

「創造的で既存市場の破壊力をもった企業」というと、シリコンバレーで多額の投資を受けたITスタートアップが一番に想起されますが、Blackmagic Design社はあくまで私企業であることを貫いています。これは「顧客の利益」を最大化すべきという哲学が反映されている証であり、放送業界へのアンチテーゼでもあります。あっと驚く製品を、驚くべき価格で出し続ける、破壊的イノベーション「私」企業であるBlackmagic Design社に今後も目が離せません。

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