
【ATEM Mini】HyperDeck Studio Mini で映像ポン出し
ATEM Mini と HyperDeck Studio Mini による映像ポン出しについて解説します。
生屋 頭取 @shindoy です。この記事は Blackmagic Advent Calendar 2020 9日目の記事になります。
人気スイッチャー ATEM Mini と HyperDeck Studio Mini による映像ポン出しについて解説します。
HyperDeck Studio Mini の概要
HyperDeck Studio Mini は、2枚のSD/UHS-IIカードスロットを備えた超小型の録画・再生デッキです。主要なスペックは以下の通りです。
【寸法】1/3Uラックマウント(W14xH4.4xD7.7cm)
【電源】内蔵AC(※電源ケーブル付属せず)
【メディア】SD/UHS-IIカード
【メディアフォーマット】ExFAT/HFS+
【ファイルフォーマット】QuickTime/MXF
【対応コーデック】H.264、ProRes、DNx
注意点としては、映像/音声入力が「SDI」1系統のみであることです。手持ち機材が全てHDMIの場合は、別途 HDMI→SDI変換に Micro Converter HDMI to SDI 3G 等の購入が必要です。
赤枠:映像/音声入力は「SDI」1系統のみ
HyperDeck Setupと本体での設定
まずはBalckmagic Design 社のサポートページから HyperDeck Setup をダウンロードし、USBケーブルでPC/Macで認識させ本体ファームウェアのアップデートを行います。ほとんどの場合、工場出荷時よりも新しいバージョンが出ているのでこのアップデート作業は必ず生じることになります。
終了後、無事にHyperDeck Setup のトップ画面が出ればアップデートが成功し本体が正しく認識されていることになります。
次にHyperDeck Studio Mini 本体の [MENU] ボタンを押し、[Network] でIPアドレスの設定(DHCPの場合は割当アドレスを確認)を行います。最後に [Remote] を On にします。
ATEM Software Controlでの設定
次に ATEM Software Control の左下にある歯車マークを押し、設定/Settings の中にある 「HyperDeck」で当該IPアドレスを入力後、接続/Connectを押します。なお ATEM Software Control 上で HyperDeck Studio Mini が自動的に認識されることはなく、IPアドレスを手動で入力&有効化する必要があります(この辺りの設定にはネットワークの基礎知識が必要)ので注意が必要です。
ATEM Software Control 上で HyperDeck Studio Mini の認識に成功すると、チェックマークがつきます。これで無事にATEM Mini (ATEM Software Control)と HyperDeck Studio Mini がソフトウェア的に接続されました。
映像ポン出し
ATEM Software Control のスイッチャー/Switcherタブから、メディアプレイヤー/Media Palyer を選択すると「HyperDecks」が現れています。このコントロールパネルから、HyperDeck Studio Mini 本体の物理ボタンと同様の操作(録画・再生)をPC/Macでのマウスクリックで行うことができます。これにより、HyperDeck Studio Mini のSD/UHS-IIカードに収納された動画を ATEM Mini (ATEM Software Control)と連携させて「映像ポン出し」を行うことができます。
SD/UHS-IIカードの収録ファイルは、プルダウンメニューにファイル名でリスト表示されます。これは、メディアプレイヤー/Media Palyer で静止画ファイルを扱う際と同じです。ファイル名にわかりやすい名前をつけたり、先頭に半角英数で(例) 01_[動画名] などの連番を振ればミスの削減やワークロードの軽減に役立ちます。
(例)
01_開始前
03_イントロ
02_休憩中
…
自動再生/マクロ
自動再生にも対応しているので、PGM切替え時、自動的に再生させることも可能です。自動再生を行うには、ATEM Software Control の設定/Settingsの「HyperDeck」で自動再生(Auto Roll)にチェックを入れます。
マクロやループ再生にも対応しているので、
・複数の動画を決められた順番でポン出ししたい
・動画終了時にカウントダウンをしたい
・サイネージとして使いたい
などの自動化/省力化が可能です。例えばセミナー等で、ライブでの司会進行を行いながらメインコンテンツとして録画済ビデオを放映する構成の配信をワンオペで行う際にミスの削減とワークロードの軽減に役立ちます。PGM切替も含めた一連の動作としてマクロ記録し「イントロV再生」等の名称をつけておけば、手動操作による遅れやミスがなくなり、精度の高いオペレーションが可能になります。
まとめ
ファイルフォーマット・対応コーデック・ネットワーク等の知識が必要な点、入力がSDI 1系統のみというハードルがある一方、ATEM Software Control 上の統合されたUIで HyperDeck Studio Mini のオペレーションがスムーズに行えることが最大のメリットです。ATEMシリーズを既に導入していて、動画のポン出しが多い配信をワンオペ・少人数で行う場合に真価を発揮するデバイスといえます。
