【ATEM Streaming Bridge】ATEM Mini Proの可能性を拡張する魔法のデバイス

ATEM Mini Proを拡張するデバイス、ATEM Streaming Bridgeがなぜ魔法のデバイスなのか基本機能からユースケースまで解説します。

2020/12/05
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こんにちは、田中司恩(@tnk4on)です。この記事はBlackmagic Advent Calendar 2020の5日目の記事になります。

ATEM Streaming Bridge とは

ATEM Streaming Bridgeは、ATEM Mini Proシリーズからのビデオ配信をデコードし、SDIまたはHDMIビデオに変換します。ローカルネットワークでビデオを送信したり、インターネットを介して世界中にビデオを送信できます。
(マニュアルより引用)

ビデオ配信とはATEM Mini Proシリーズ(ATEM Mini Pro、ATEM Mini Pro ISO)が持つライブ配信機能です。このライブ配信されたデータをHDMIまたはSDIで出力できる映像/音声信号に変換します。基本機能はこれだけなのですが、ATEM Mini Proシリーズに入力された映像/音声をネットワークを超えて別地点に送り届けることができる、と考えるとユースケースの幅は広がります。

ATEM Streaming Bridgeのマニュアル

ATEM Streaming Bridgeの単体のマニュアルはありません。ATEM Miniのマニュアル内の「ATEM Streaming Bridgeでビデオリンクを構築」という項目に内容が載っています。
ATEM Miniの最新版のマニュアルは「2020年9月版」です(2020年12月5日、時点)。このマニュアル内の282〜290ページ部分がATEM Streaming Bridgeの日本語による説明部分です。本体で操作する部分はほとんどないので、多くはATEM Software ControlとATEM Setupによる設定方法の内容となっています。

 

ATEM Streaming Bridgeの3つの接続方法

マニュアル内では3通りの接続構成が示されています。

  • 直接接続
  • ローカルネットワーク接続
  • インターネット接続

図にまとめると下記の通りです。

ATEM Streaming Bridgeの3つの接続方法

ATEM Streaming Bridgeの3つの接続方法

 

ローカルネットワーク接続とインターネット接続の必要とされるネットワーク要件は「論理的に同じ」です。詳細にはATEM Mini ProからATEM Streaming Bridgeが「TCP port 1935」へ接続できることとなります。もちろん、インターネットを超えて接続先のATEM Streaming Bridgeへ通信するためには、相手を特定するためのパブリックなIPアドレスが必要です。しかしながら、ネットワーク要件を満たすだけであれば「ATEM Streaming Bridge自体にパブリックIPアドレスの設定は不要」です。ローカルネットワーク内にあるATEM Streaming Bridgeへポートフォワーディングを行えば良いからです。この点については次回、ATEM Streaming Bridgeをネットワーク詳細編で解説します。

ATEM Streaming Bridgeの遅延

下記のセッティング時、約600msec程度の遅延でした。

  • 1080p60
  • Streaming High(9Mbps)
  • ローカルネットワーク接続
  • Camera 4:元ソース映像
  • Camera 3:Streaming Bridgeの出力映像をATEM Mini Proに入力
ATEM Streaming Bridgeの遅延

ATEM Streaming Bridgeの遅延

ATEM Mini ProとATEM Streaming Bridgeは同一のL2スイッチ配下に接続されており、非常に条件の良い時の結果です。配信クオリティ設定やインターネット超えの構成など、条件により遅延の値は変わってきます。これについてもネットワーク詳細編で解説します。

ATEM Streaming Bridgeの発熱と消費電力

ATEM Streaming Bridgeに付属のACアダプターの出力はDC12V/1.0Aとなっています。ワットチェッカーで計測したところ「待機時:4w、ストリーム受信時:5w」程度でした。本体はATEM Mini Proと違い全体は金属でカバーされておりファンレス構造です。待機時とストリーム受信時も発熱は同等で、触れると暖かい程度、ATEM Mini Pro動作時の底面と同等です。ケーブル接続部以外の可動部も無いため、ATEM Streaming Bridgeの設置にはそれほど気を遣う必要なないと考えます。

 

ATEM Streaming Bridgeのユースケース

ATEM Mini Proと組み合わせて使用する場合、一押しの使用方法が

「M/VとPGMを同時に使用する」

です。

ATEM Mini ProのHDMIアウトは1つしかないため、M/VとPGMは同時に使用できない排他仕様となっています。そこでATEM Mini ProのHDMIアウトからはM/V映像、ATEM Streaming BridgeのHDMIアウトからPGM映像を出力することで同時使用が可能となります。先に述べた通りATEM Streaming Bridge経由の映像は遅延がありますが、M/Vを確認の主としPGMは補完的に使用する用途なら十分使えます。

別のユースケースとしては、

「ネットワーク的に離れた場所でモニタリングする」

が挙げられます。

ライブ配信における最終送出映像/音声を距離の離れた副調整室(または同等のモニター環境)へATEM Streaming Bridge経由で送ることで、現場では気付きにくいリップシンクのズレや音質問題などを確認し現場にフィードバックすることができます。現場にATEM Mini Pro、モニター環境にATEM Streaming Bridgeだけを用意すればよいので、非常にシンプルかつ安価に構成を組むことができます。もちろん条件さえ整えばインターネット越しも可能です。

どちらもATEM Mini Pro単体ではできないことであり、これらを実現するATEM Streaming Bridgeはまさに「魔法(magic)のデバイス」です。

まとめ

ATEM Streaming Bridgeの基本機能からユースケースまでを解説しました。ユースケースでは2つの方法のみ紹介しましたが、ネットワークを構成に組み入れることで「時間」と「距離」を超えて様々な可能性を見出すことができます。これはライブ配信の民主化と同様のことだと考えます。また、ATEM Mini Proという安定して実績のある機器と組み合わせて、安価に機能拡張ができるようになりました。これまでプロ用の高価な機器を使用することでした出来なかったことが誰でもできるようなり、ライブ配信の可能性をさらに高めることができる、ATEM Streaming Bridgeはそんな魔法のデバイスだと考えます。

次回はATEM Streaming Bridgeのネットワーク機能をさらに掘り下げて、詳細に解説します。

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