【ATEM Television Studio HD】導入ポイント解説

アドベントカレンダー4日目。ATEM Television Studio HD の導入ポイントについて解説します。

2020/12/04
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生屋 頭取 @shindoy です。この記事は Blackmagic Advent Calendar 2020 の4日目の記事になります。

大人気スイッチャー、ATEM Mini シリーズでBlackmagic社の製品に慣れ親しんだ方(追加導入)、初めてのスイッチャー購入(新規導入)を検討している方などに「ATEM Television Studio HD」の導入ポイントを解説します。

8入力=HDMI×4+SDI×4

そろそろ映像(音声)入力が4つ以上ほしい!と思ったとき導入検討の対象に挙がると思いますが、要注意です。この製品の「8入力」の内訳は「4HDMI+4SDI」となっており、SDI出力のあるビデオカメラ等でない場合、HDMI→SDI変換に別途「Micro Converter HDMI to SDI 3G」等が必要になります。

赤:HDMI×4入力、黄:SDI×4入力

PGMがSDI(M/VはSDI×1とHDMI×1)

機材不足時のバックアップ用にと現場へ持っていったとき「これはしまった!」と思いました。手持ち機材はHDMIのみだったので最終映像をPGM出力しようとして、詰んでしまったのです。SDI→HDMI変換に別途「Micro Converter SDI to HDMI 3G」 等が必要です。

赤:PGM、黄:MULTI-VIEW

なぜSDI?

現場での撮影では長距離でのケーブル取り回しが必要な場合が多く、それに伴う映像信号の劣化を避けなければなりません。10m以上のHDMIケーブルは劣化防止のために直径も太くなり、運搬時の容積や重量も増加します。また、ケーブルの「抜け」も致命的です。HDMI端子には「抜け」への物理的な防止策はなく、養生テープで補強する等の「工夫」しかありません。スタッフやお客様がケーブルを踏んでしまった、HDMI端子の「ガタツキ」で突然映像が真っ黒になってしまった、等のリスクも残ります。プロの現場では、このようなミスの許されない「一回限りのチャンス」を逃さないための対策が必要になります。このために機材の対象レベルが上がると、SDI端子を装備した機種が増えていくことになります。

標準プラグのヘッドフォン端子

一般的なUSBインタフェースやオーディオミキサーには、標準プラグのヘッドフォンが付いていることがほとんどです。この標準プラグのヘッドフォン端子が実は便利で、現場でオーディオミキサーに使っているヘッドフォンを抜き、サッとこの「ATEM Television Studio HD」に入ってきている音声のモニタリングができるのです。ライブ配信では、最終的な段階での音声モニタリングをすることになりますが、この「スイッチャー段階」での調整を済ませたうえで次の機材に映像・音声を送ることが望ましいといえます。

LEDオーディオメーター

それぞれの入力における音声レベルを、切り替えスイッチ直上のLEDオーディオメーターで視覚的に確認することができます。この機能も「スイッチャー段階」での素早い調整・モニタリングにより、最終的に送出する音声品質の向上に大きく貢献します。例えばインタビュー企画でゲストが「大笑い」したりするなど、音声は動的で常に変化しています。レベルが高すぎるソースでピークノイズが発生していないか、あるいは弱すぎて聞きづらくないかを確認するために、この機能が真価を発揮します。

LCDモニター&回転ノブ

これも大きな利点です。「スイッチャー段階」での映像を確認するための小型モニターがなくても、本体のLCDモニターでできてしまいます。現場撮影における持参機材の重量軽減に役立ちます。また各入力の選択時に対応した音声レベルメーターも画面内の右端に表示され、円形ノブにより直感的かつ迅速な調整が可能です。

ユースケース

このような製品仕様・特長から想定される利用シーンを挙げてみると、

・ATEM Mini Pro/ATEM Mini Pro ISO 既存ユーザーの追加機材
この「ATEM Television Studio HD」で入力映像・音声を調整し、PowerPoint/Keynote等のスライドや静止画、動画を収録したPC/Macを接続したATEM Mini Pro/ATEM Mini Pro ISOを構成に追加、最終的にYouTubeライブ等の配信デバイスとして用いる。

・広い会場での現場撮影を伴う社内・組織内向け配信
複数ビデオカメラかつSDIによる長距離ケーブル取り回しが必要な会場におけるスイッチャーとして、既に所持しているライブ配信エンコーダー(OBSやLiveShellシリーズ等)機材と組み合わせて用いる。

まとめ

まだまだ多くの利点のある玄人向きの「ATEM Television Studio HD」ですが、今回は特に ATEM Mini で配信を始めた方やスイッチャーを初めて購入する方に向けて解説しました。ポイントとしてまとめると、

・[デメリット] SDI化が必要(特にPGM出力はSDIのみ)
・[メリット] 単体での映像・音声モニタリングが可能

といえます。「最初に買うスイッチャー」としてはハードルが高い機種ではありますが、HDMI×4入力で済み、PGM出力にSDI→HDMI変換用の「Micro Converter SDI to HDMI 3G」 を購入するのであれば、比較的安価で(スイッチャーが入手困難な状況下においては)在庫量も安定しているという観点では選択肢に入るでしょう。

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