【考察】ポケットティッシュとライブ配信

2021/02/12
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街角で、コンタクトレンズの街頭配布(サンプリング)を久々に見ました。長期間、外出を自粛する状況が続いていたので新鮮な気持ちになりました。そこでライブ配信とこのサンプリングとの関係性を考察してみました。

地域✕需要

いうまでもなく、街頭配布(サンプリング)は街頭に立って配布を行うことでその地域に居住するか、職場・学校が近いなどの理由で通りがかった人に直接、来店の機会を促し店の存在を「認知」させ、最終的に「購買」まで至らしめるという活動です。これをセミナー型のライブ配信に置き換えてみると、地域=関心やテーマ設定、需要=リード獲得(ライブ配信での直接的な販売機会よりも資料請求などのリード創出に用いられることが多い)といえます。では、サンプリングとライブ配信の関係性はどこにあるのでしょうか。

コストをかける意味

ポケットティッシュと街頭配布には、先行してコストがかかります。受け取る人がほんとうに視力矯正を必要としているかどうかは外見ではわからないため、かなりの確率で「ティッシュだけ欲しいから」という理由で受け取る例が多いと思われます。ときには、あきらかに対象外であっても配布しなければならない状況もあるでしょう。しかし、コンタクトレンズの使用率は基本的に需要は増加傾向で推移しているため結果的には効果があるという理由で継続されているものと思われます。

総務省統計局「眼鏡、コンタクトレンズへの支出」
http://116.91.128.50/data/kakei/tsushin/pdf/28_1.pdf

ここで重要な概念が、街を歩く不特定多数の人に「先にティッシュ与える、という先行投資」ということです。それに見合うリターン(見返り)はあるのか?を考えたとき、コストをかけても、そのなかの一握りの潜在顧客が初めて店に足を運べば(ソフトコンタクトレンズの場合)定期的に出費するものになるので「(決まった時期に決まった金額を定期購入し更新する)サブスクリプション」に近い商取引が生まれることに気づきました。この「容易には得難い、でも見つかればありがたい定期収入をもらたしてくれる、その貴重なひとり」を狙って長期的な目線で投資としてのサンプリングを行うという性質もあるのではないでしょうか。

昨今のライブ配信では視聴率(または視聴維持率)の低下や、イベント自体の参加率が低下しているという悩みをお客様から多く聞きます。企画者・主催者側がいかに視聴者の多様な生活スタイルのなかから当該配信に目と耳を向けてもらうための時間を「獲得」できるかが重要になってきています。このライブ配信においても、スライドを淡々と読み上げるだけのイベントでは視聴者にも「手抜き感」が伝わってしまい、どんどん離脱していくという興醒めな企画を経験したこともあります。つまり、ライブ配信にかぎらず全ての企業活動においては「何がその企業の『出し物』なのか?」を常に意識することが重要と言えます。よく考えられていれば、それに対して視聴者は必ず心を打たれ、強い印象を持ちます。手抜きをすれば、視聴者に簡単に見破られてしまい、最悪は企業のブランディングにも影響を及ぼしかねない結果となります。ライブ配信の「質」は、視聴者のマインドを刺激するうえで、欠かせないものといえます。

ティッシュがないことの意味

ある全国的なコンタクトレンズ販売店では、ティッシュを配らずに「割引券」だけを配っている場合が多く見受けられます。受け取ってから「ティッシュがない」と残念に思うことがあっても、確実な需要があれば来店の動機と成り得ます。なぜ、そんな悪影響を及ぼしかねない「ネガティブな印象をもたれる」リスクを負ってまでティッシュなしで街頭配布を行うのか、ツイーターでいくつかのつぶやきを検索していたところ、なるほどと思った視点のものがありました。

もらう、もらわないはおいといて

あんだけ徹底してティッシュ配りをすることで

『コンタクト買おう』と思ったときにXXXXが頭に浮かびます。

認知されていることは最大の価値です

つまり、そのコンタクトレンズ販売販売店では、テュッシュ配りといういわゆる「常套手段」を改めて検証した結果、必要な人はティッシュがなくても店に足を運ぶ堅いニーズがある、そして街頭配布で「コンタクトのXXXXXです」と何度も耳にすることでその地域に関係性が高い通行客の脳内に「認知」させ、ニーズが顕在化していない人へ配るコストを下げ、ニーズがある人には自動的に「この街には『コンタクトのXXXXXがある』」と記憶させることで「購入」までを実現しているのではないかということに気が付きました。ライブ配信でも、繰り返し同じ「企業ミッション」「キャッチフレーズ」などを言う、月に一回ではなく週に数回ほど行って、配信回数の「量」も担保する、という戦略が生きてきます。最後に、企業のイメージ戦略上「ティッシュが無くチラシだけ」はネガティブな印象を不用意に拡散してしまうのか?を考えてみます。

「顧客」とそれ以外

昨今、さかんに聞くようになった「カスタマーサクセス」や「顧客体験」の観点からいえば、明らかにこの「ティッシュが無いチラシのみ」モデルは問題だと、一見は思えます。しかし、立ち止まって考えればそれで来店しない人は、まだ「顧客」ではありません。つまり、客になるかどうかはまだわからない人です。そこにコストをかけるのは、非効率です。ティッシュをあげたから「そこは気前がいい」と思うのは、例えば飲食店で食べ終わったあとや、実際の店舗の「利用後」です。つまり、まだ「顧客」ではない人を除外することで不要なコストを削減し、必要な人にだけ到達する効率的なやり方、と言えます。

まとめ

「質」の追求として、その商材に関するテーマを徹底的に(競合が真似できないレベルまで)掘り下げる。そして配信の回数(頻度)をあげて「量」も同時に担保する、という「質」と「量」の掛け算戦略は非常に有効です。もし、コンテンツを作る余力がない、何が当たりそうかわからないからその一歩が踏み出せない、という場合はまず「量」を追求してみることをおすすめします。なぜなら、それによって影響力のある視聴者に「見つけてもらえる確率があがる」からです。何もしなければ、永遠に発見されることはありません。インターネット上では「情報の99%は届かずに消えていく」と言われています(※「僕らはSNSでモノを買う」p033、図)。そのようななか「見つけてもらう努力」を怠っていては、いつまでも「効果の無いライブ配信」になってしまいます。「質」と「量」が伴ってこそ、#ライブ配信サクセス が実現するのではないでしょうか。

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