【展望】2021年のライブ配信

2021/01/27
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昨年2020年は、半ば「強制的」にライブ配信が普及した年でした。普及が進み顕在化してきた課題に対し、2021年はどんな展望で臨むべきかを考えました。

背景(前提)

ライブ配信が急速に普及したことで、毎日ウェビナーやオンラインイベントが「あたりまえ」に行われるようになりました。IT業界のように普及率の高い業界においては、同日の同時間帯に見たい(参加したい)ものが「被る」ことも生じるようになりました。このような「ライブ配信レッドオーシャン化」のなかで、主催者(ライブ配信の企画・担当者)は参加率の低下や盛り上がりの創出など様々な課題(悩み)に直面しています。

課題(悩み)

2020年秋頃から最近までの傾向として参加率の低下(事前の申込者数と当日の実参加者数の乖離)です。以前は高い参加率(80%〜90%)を記録していたものの、最近は実参加率が60%前後が「最大値」となっている事例が多く見受けられます。オーディエンスに「いかに見てもらうか」そして「どうやったら盛り上がりを創出し、維持・拡大させていけるか」というテーマに対しどの主催者(企業)も悩みを抱えている現状があります。

ライブ配信5つのキーワード

#ライブ配信サクセス の観点から、2021年のライブ配信においては5つのキーワードが挙げられると考えています。

・短時間
・多頻度
・個客化
・構成力
・ラジオ

短時間

視聴者(受け手)側の集中力は大幅に低下しています。ある調査によると、スマートフォンの普及により日常的に通知が頻繁に生活に「割り込み」を行うため、集中力が低下しているのだという。アイトラッキング調査で、SNS投稿への注意力は2秒との結果も出ています。

「画面の前で2時間」が耐えられない! スマホ世代の集中力に異変
https://dot.asahi.com/aera/2021011400068.html

SNSで一つの投稿に2秒ほどしか注意を向けないユーザーを何度も観察しました

このような「多動性」が基本の生活スタイルが定着し、更に価値観や嗜好の「多様性」も広がっているなか、数時間に及ぶ「超大作」を(主催者が考えるように)視聴者に見て欲しい、と願うことは難しくなっていく一方でしょう。それが求心力の働く「もともと活発だったコミュニティのイベント」であれば長時間、離脱が無く視聴を維持できるかもしれませんが、何か新しいものを全くの新規で伝えるような場(参加者のほとんどが見知らぬ人どうしの製品やサービスの紹介ウェビナーなど)であれば更に難易度は増します。

多頻度

「短時間」では、ある一定量をもつコンテンツを伝えきれないことは明白です。そこを「頻度」でカバーします。つまり、1回(1日)における配信の時間を短くして、毎日連続で行うか、あるいは間隔を置いて行います。1回の視聴における視聴者側の「負担」を軽くして「腹八分目」で終わらせることにより、「断続的(=間隔をおいた)な集中力」を引き出すことができます。この他頻度での開催には、更に(1)同じ時間帯(2)別の時間帯という要素を加えて「配信時間帯ミックス」を行うことで異なる属性の視聴者にリーチすることができます。ただし、予め視聴者の属性が明白である場合かつ過半数を占めるような配信では、特定の時間帯で連続して行うことが望ましいのは言うまでもありません(例:視聴者が就業時間内に業務として視聴・参加する想定の配信等)。また、1回の「超大作」配信で終わり、ではなく顧客との接点を多く創出することで「精神的なつながり(顧客ロイヤリティ)の維持」を導くことにもつながります。

個客化

前述の「短時間」「他頻度」は、たとえそれがアーカイブ(録画)であったとしても「個客」への対応という観点ではユーザーフレンドリーです。なぜなら現在は「誰もが様々なことで『とても』忙しい」のであり、決まった時間に主催者の望むような多人数の「同時(リアルタイム)参加」を求めること自体に意味がなくなってきているからです。在宅ワークが増え、家事や育児への対応時間の増加や様々な「用事」が追加で発生するようになります。かつてのような「職場」で一定時間を「同僚」と過ごす時代なら画一的に「場を縛る」ことができましたが今はもう無理です。人々はより集中力を持たない状態で、そのライブ配信は「家事・育児」や「通知メッセージ」と相対する状況になっています。そこで「個客」つまり個々の人々に対して、パーソナルなコンテンツを届けるという発想の転換が必要です。同じ時にリアルタイムで、その「場」で観て欲しい、を捨ててアーカイブ視聴にも耐えうるコンテンツを提供していく必要があります。

構成力

ライブ配信を本格的に行うようになって、過去のテレビ番組を改めて視聴してみました。そこで気づいたのがテレビ番組の「構成力」です。いわゆる「構成作家」が番組の全体構成(と台本)を考え、それに沿って司会者やビデオを放映、終わるとリアルタイムのトークに戻る、などの構成は意識をして観てみると非常に高度なものであったことがわかります。特に、生放送は難易度が高く、司会進行は時間管理(タイムキープ)やファシリテーション能力、更にはドキュメンタリーでは「事前の(知識)インプット」も必要であり「ただ(オフラインで行っていた)セミナーをオンラインに置き換えただけ」の世界とは正反対にあります。全体の流れ、構成(どこでどんなコンテンツを流すか)、司会進行、決められた時間内で必ず終了する技術などを高めたうえで、質の高い構成の「番組」を提供する必要性があります。

ラジオ

前述の「ライブ配信レッドオーシャン化」により、視聴者は「お腹がいっぱい」な状態にあります。そこでいま、見直されているいるのがいわゆる「耳メディア」つまり「ラジオ」番組です。車移動が前提の地域ではラジオというメディアは必須であり、最近では「カロリーの少ない配信(=映像を映すライブ配信と違い映像の準備が不要なので配信者側の負担が少ないの意)」として見直されています。言葉だけで様々なことを表現する技術を磨く必要がありますが、カメラの準備などが一切不要なこともあり「気軽な配信」として「短時間」「他頻度」での配信を行うことができます。結果的に、車での移動中や多忙な生活のなかに入り込みやすい「耳メディア」として、「個客」へのアプローチが可能となります。

まとめ

「ライブ配信元年」から1年が過ぎ、「オフラインへの回帰」が現実的に無理である現状では、過去の方法論とは違う新たなアプローチを試す価値のある時期が来ているのではないでしょうか。前述の5つのキーワードに沿った「新たなアプローチ」の例を挙げると、

・短時間
3時間連続の配信(1日、1回のみ)を、1時間を3日に分けて配信
・多頻度
その日のみ→「前」「後」フォローの番組や、3ヶ月〜半年の番組へ
・個客化
リアルタイム参加人数に焦点→アーカイブ(後追い)再生回数も評価
・構成力
漫然とした司会・進行ではなく、構成と時間の管理を意識する
・ラジオ
YouTubeチャンネルで、音声のみの「ラジオ」配信を行う

元には戻らないのあれば、新しいことを試してそこから得た情報や知見から次の一手を考える。その繰り返しがより良いライブ配信のあり方だと考えています。幸い、様々な手法をコスト(時間)をかけずに試すことができるのがライブ配信のメリットであり、常にチャレンジとアップデートをし続けることが重要です。ぜひ、皆さんも「新たなアプローチ」を試して得られた知見をアウトプットして頂ければと思います!

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